幽  玄

​花伝堂主人の旅日記

【2019年 正月】 別府 湯布院 国東

二人の母親も90歳だの具合がすぐれないだの、例年通りおちおちと半月も海外旅行というのは無理な話であろう。

急な知らせに即応できるように、せめて国内旅行、飛行機ですぐに入洛できる九州大分の温泉旅行に出かけた。

伊丹から小さなプロペラ機で50分である。伊丹から大分までたったの50分。なんともはや近いもんである。12時間、半日も乗り続けるのとはえらい違いである。

空港にはレンタカー屋が迎えに来ており、手続きを済ませて湯布院へ向かう。こちらでチョイスできないパック旅行の国産リッターカーだがよく走る。

おまけにセンターラインを少しでも割ると、警報警告が鳴るという、人を小ばかにした、実におせっかいな、安物の最新型である。

家内が初めてなので連れてきたが、雄大な由布岳、そして人気の温泉地、湯布院に一泊して、別府では二泊した。全日空ANAの旅作というパック旅行はなかなか

よくできたもので、飛行機はもちろん車から宿から飯から、なんでもランク別に選択肢があり、全部一番高いやつにしとけば、まず外れはないようだ。要は値段なのである。

湯布院でも二軒、別府でも二軒の骨董屋に立ち寄って買い物をしたが、それぞれ個性もあり、おもしろいものも買えた。そしてみな親切なのである。朝晩は宿でご馳走、お昼は地元のローカルフード、

なかでも別府冷麺は連日一二の名店を食べ歩き、うまいというより、おもしろいもんだなぁと感心が先に立つ。

帰る日には宇佐八幡宮、国東半島の富貴寺へ。富貴寺ではたまたま土地の檀家さんらが護摩焚きをしていて、どうぞどうぞ是非にと誘われたので参加することになった。

ここの和尚がそそっかしいのか、僕の頭の上に経典の分厚いのを落としてしまい、バラバラドサドサ。本来は経典で一人づつの背中をポンポンとたたいて回るのだが

頭上に有難いお経が降ってきたのだから、きっともっとご利益があるとの話である。終わってからも、ぜんざいを食べていけ、お米も当たる福引も引いて行けと、何度も何度も

誘われるのだが、僕は籤運が良く、飛び入り参加のよそ者が一等賞取ったら申し訳ないので、これで失礼します、ありがとうございます、さようならと、気持ちばかりとお守りなどを

買って、なんとか這う這うの体で逃げ帰るように大分空港に向かったのだった。本当に皆さん親切で嬉しい限りである。これぞ旅の醍醐味というものだろうか。

空港のすし屋で地魚を最後まで楽しんで、プロペラ機に乗り込んだ。やはり偏西風の影響か帰りは40分位だったか、飛んだらあっという間に着いた感じである。

迎えのMKタクシーの運転手が、予定より到着が早かったですね、早かったですねと、頻りに言っていたように思う。

【2018年 冬】 横浜 鎌倉 藤沢

東京美術倶楽部への出張である。なるべく東へは行きたくないものだが、ここへ行かないと一流の骨董品に出会えないのであるから仕方がない。

オークションへの単純往復なら日帰りもなんとか可能だが、都内には名だたる美術館、博物館が点在し、往復四万円近く汽車賃を使って、そのまま素通りはできない。

せっかくだから一泊して、諸先輩や旧友と夜遅くまで酒でも飲みながら語り合うのも、月に何度かの人間修行、楽しい自己研鑽のようなものであろう。

若い後輩の業者仲間達が、節約節約で泊まる金が惜しいのか、忙しすぎて暇や余裕がないのか、もともと美術芸術にそんなに興味がないのか、計り知れない所ではあるが

 

悲しきかな、みな素通り人生のようだ。なんでだろう、もったいない。と僕も若い頃は思っていたものだが、いまはあきらめている。みなそれぞれ事情があるのだ。

おそらく若い人達はみなナルシストで、自分が最高最上なのである。他人に気を使うとか、頭を下げる、いまさら教えを乞うなど、とにかくめんどくさいのであろう。

 

9号車のいつもの座席で富士山を遥拝したころ、横浜の金沢文庫で、白洲正子先生が旧蔵していた十一面観音立像が展示されていることを、ふと思い出した。

あれは前田青邨画伯も旧蔵していたもので、そちらの方はあまり知られていない。祈りと救いの中世、顕われた神々。僕の頭の中が藤原時代に戻ってしまったようだ。

思い立ったら即行動。まったくの予定外。しかし臨機応変は米国海兵隊のモットーとも聞いているし、なにせ世界最強の軍隊組織なのだから、まぁ名誉なことである。

鎌倉へも立ち寄り、久しぶりに大仏様の洞内にも20円払って入れて頂き、頼朝公に思いを馳せ乍ら、美しい海岸べりを散歩してみた。もし僕が東京に暮らしていたら、きっと

ここに別邸を構えることだろう。いや貧乏してて掘立小屋に毛の生えたものしか買えなくても、ここにやってくるだろう、そんなつまらないことを考えていた。

別荘の山の家は軽井沢、別邸は海の家、ここ鎌倉だ。そのまま江ノ電に乗って終点の藤沢。そして老舗のこましな鰻屋で一杯やって、東京新橋に戻ったのだった。

古陶磁  茶道具   仏教美術

古美術  花伝堂

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